<森のアイドル ネコミちゃん>

2006・3・25

 「森のアイドル ネコミちゃん」は、少年ガンガン2006年4月号に掲載されたギャグマンガの読み切りです。作者は堀田和哉


・堀田和哉の悪夢再び。
 堀田和哉は、「第6回スクウェア・エニックスマンガ大賞」において、「お空の仲間たち」というギャグマンガ作品で入選を受賞し、その後、少年ガンガン誌上で「1Pギャグ祭り」「サバンナの転校生」「兄弟テニス」等々のギャグマンガの読み切りを立て続けに掲載しました。しかし、そのどれもが全く面白くなく、到底掲載レベルに達しているとは思えない、最低レベルの絵と内容の作品でしかありませんでした。

 そして、「ここまでひどい作品しか描けないのなら、もう当分は出てこないだろう」と思っていたのですが、これがなんと前作「サバンナの転校生/兄弟テニス」の掲載からわずか2ヵ月で、いきなりガンガンに再登場してしまうのです。もう常識的にはありえない話でしょう。そして、これが予想に違わず、いや予想をさらに上回るかのような、前作をも凌ぐひどい作品であったのです。


・ネコミという醜悪なキャラクター。
 このマンガのひどさは、メインキャラクターである「森のアイドル」ネコミというメスネコの悪辣さに集約されます。とにかく、「どこまで嫌らしいキャラクターを描けるか」というその一点のみに全精力をつぎ込んだかのような、作者のゆがんだ創作精神を全面に感じるのです。

 まず、マンガの冒頭で、ネコミの「森のアイドル」としての姿が描かれます。アイドルと言えば聞こえは言いですが、実際にはとにかく周りに徹底的に媚びまくる姿が何コマにも渡って描かれ、この時点でほとんどの読者が激しい不快感を感じるでしょう。まずマンガの1コマ目の「ハ〜〜〜イ♥ わたしネコミ!」から始まるセリフを一目見ただけで、いきなりもの凄くいやな気分にさせられます。この作者、およそ読者を不快にさせることにかけては一、二を争う作家だと言えるでしょう。

 しかし、このキャラクターの真の悪行はこれからです。このネコミ、森に新しくやってきた羊の赤ちゃんに自分の人気を根こそぎ奪われたことに腹を立て、激しい嫉妬に狂いまくり、ついには羊の赤ん坊の殺害を計画し、まずは執拗な嫌がらせを開始します。もうこの時点で、このマンガがどれだけ醜悪なストーリーなのか分かるでしょう。

 そしてネコミの執拗な嫌がらせの連発が何ページにも渡って描かれます。無垢な赤ちゃんに対してネコミの悪質な嫌がらせの嵐が続きます。ここでほとんどの読者は徹底的な不快感にさらされることでしょう。善良な人ならば、もう耐えられずにマンガを読むのをやめてしまうのではないでしょうか。

 そして最後には、一旦は反省して自分の悪行を赤ちゃんに謝罪しようとしたのもつかの間、自分のリボンを赤ちゃんにぞんざいに扱われたことに腹を立て、ついに羊の赤ちゃんを崖から突き落とし、最後には警察に逮捕されて終了、という身も蓋もないオチが待っています。

 これは個人的な意見ですが、はっきりいってギャグマンガでこれほどまでに醜悪なキャラクターを今まで見たことがないです。確かに、一部のギャグマンガには周りの人をいじりまくって楽しむキャラクターがよく出てきますが(「ハレグゥ」のグゥ、「清村くんと杉小路くんと」の杉小路など)、彼らは完全な悪人というわけではなく、どこか憎めない存在として描かれているのが普通です。

 しかし、この「森のアイドル ネコミちゃん」は違います。このマンガは、ネコミというキャラクターの醜悪さのみが徹底的に強調されており、ネコミがもうどこまでも嫌らしいだけのキャラク ターに成り果てているのです。


・これは本当にギャグマンガなのか。
 いや、それ以前の問題として、これは本当にギャグマンガなのでしょうか。全く笑えないばかりか、どこまでも不快にさせられるその内容は、とてもギャグマンガとは思えません。なんというか、作者が本気で読者を笑わせようとしているとは到底思えないのです。むしろ、読者に対して嫌らしいネタをどこまでぶちまけるかという、その一点のみに凄まじいまでのこだわりを感じるのです。
 いや、実はこれはギャグマンガの範疇を超えたマンガなのかもしれません。これは、もはやギャグマンガではなく、「堀田和哉」というジャンルのマンガなのではないでしょうか。この新ジャンルは、いかに人を不快にさせるかを目指すという、非常にゆがんだ精神のみで製作されており、もはやギャグマンガではないと思われるのです。


・このマンガが本当に低年齢層に受けるのか。
 最近のガンガンは低年齢化路線を採っている節があり、このようなギャグマンガ(?)もその路線のひとつだと思われますが、それにしてもこんな内容のマンガが本当に低年齢層の読者に受けるのでしょうか。嫉妬に狂った醜悪なメスネコが、赤ん坊に執拗な嫌がらせを繰り返すようなマンガを、果たして小中学生が喜んで読むとでもいうのか。ガンガンの編集部は、本当にこんなマンガで読者を呼び込めるとでも思っているのか。もはや、わたしには到底理解できる代物ではありません。


・なんでこのマンガが前から4番目に載るのか。
 しかも、このようなひどいマンガが、なんとガンガン4月号の「前から4番目」に載っているのです。これが、「上海妖魔鬼怪」「ひぐらしのなく頃に」「ソウルイーター」の次に載るべきマンガなのでしょうか。そう、このマンガがなんと「鋼の錬金術師」よりも前に載っているのです。もうありえません。
 いや、このガンガン4月号では、「鋼」が珍しく雑誌の中ほどに掲載されているので、この号に限っては他にも「鋼」よりも前に載っているマンガがかなりあります。しかし、いくらなんでもこれが雑誌の前の方、しかも前から4番目という場所に載っているというのは、およそ信じがたい事実です。

 しかし、ガンガンでは、かつて堀田和哉と同等にひどいマンガを再三に渡って描きまくった、あの「地獄ゆき」のマンガも前から4番目に載っていたことがあります。信じられないことですが、今のガンガン編集部は、このようなマンガでも雑誌の最前部に載せるに値すると考えているらしいのです。ガンガンを前から順番に読んできて、4番目でいきなりこのマンガに遭遇した読者は、一体何を感じたのでしょうか?


・さらなる編集者の悪ノリ行為。
 しかも、この作品では、かつての堀田和哉・地獄ゆき作品に見られた、編集者による悪ノリとしか思えない煽り文の数々が、さらに凶悪化して登場します。
 冒頭の「はしやすめ 胸キュン 読み切り」「戌年なのにすみません」から始まって、「超☆アイドル伝説 森のアイドル ネコミちゃん 〜アイドルの座 危うし!の巻〜」というふざけたタイトルセッティング、そして巻末の「オチだけに落としてみました!!」というあまりにもふざけた煽り・・・。無垢な赤ん坊を崖から突き落としておいて、「オチだけに落としてみました!!」はないでしょう。編集者の良識を疑わずにはいられません。
 一体、このマンガの担当編集者は誰なのか。担当編集者と堀田和哉は、こんなマンガで一体どんな打ち合わせを行っているのか。もはや想像を絶する光景です。


・これはエニックス系の優良マンガに対する冒涜行為だ。
 それにしても、このマンガはあまりにもひどい作品です。単につまらないだけでなく、どこまでも人を不快にさせるその内容は、到底雑誌に掲載していいものだとは思えません。何と言っても、この「ネコミ」という醜悪なメスネコの存在はひどすぎます。2カ月前の読み切り「サバンナの転校生」もそうなんですが、この堀田和哉という作者は、とにかく醜悪で変態的な動物ばかりを描きたがりますね。本来ならばかわいい動物のはずのネコを、ここまで醜悪に描いたのはひどすぎです。これはエニックス系の一部のマンガに対する冒涜行為にすら思えます。

 わたしは、このところ、「ちょこっとヒメ」(カザマアヤミ)や「はこぶね白書」(藤野もやむ)等の作品で、擬人化(もしくは人間化)されたかわいいネコに心地よく萌えていたのですが(笑)、このマンガのために一気に最悪の気分に叩き落されてしまいました。これは、エニックス系特有の中性的な萌えマンガを全否定するかのような最悪のマンガです。昔のガンガンなら絶対にこのようなマンガは載らないでしょう。これは、路線変更したガンガン編集部による、従来型のエニックスマンガに対する嫌がらせの意思表示なのでしょうか?(笑)

 まさに、かつてのエニックスが作り上げたよき遺産を完全に否定し、その逆を行くかのようなマンガを平然と載せるガンガン。これではかつての熱心な読者が離れていくのもやむなし、と言ったところでしょう。


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