<CHOCO・ビースト!!>
2004・9・20浅野りんさんの最初の連載作品にして、今だに語り継がれる名作です。連載開始は1995年7月。
元々は新人の読み切り作品掲載雑誌「フレッシュガンガン」での読み切りだったのですが、そこでの2回の読み切りが大変好評を得て、そのまま連載となりました(ちなみに、読み切り版と連載版ではちょっとだけ設定が違います)。残念ながら、連載期間はあまり長くなかったのですが、その面白さは折り紙つきで、今だにこのマンガには熱心なファンが多数います。
このマンガは、現代を舞台にしたコメディです。山で天狗に育てられた子供のちょーこ(蝶子)が、ふとしたきっかけで主人公の中学生・京太に引き取られて街で暮らすようになり、そこでドタバタ騒ぎをコミカルに繰り広げるというもの。山で天狗に育てられたちょーこは、ちょっとした不思議な能力を持っていて、無邪気に(?)それを使おうとしていろいろと騒ぎを繰り広げます。そして、それを必死にフォローしようとする主人公や周りの人たちとのドタバタが面白い。このように、現代の日常を舞台にしながら、そこにちょっとだけファンタジーな要素が入ってくるのが、浅野さんの作品の特徴で、わたしはこれを日常ファンタジーと呼んでいます。
基本的には一話完結形式のマンガですが、どの話もほのぼのとした内容で、天真爛漫に遊びまわるちょーこと、彼女をとりまく人々が、誰もみな「いい人」で、ドタバタコメディで大いに笑いながらも、その一方でどこかほっとするような話が多い。加えて、浅野さんの絵がシンプルかつ優しい絵柄で、非常にいい雰囲気を作り出しています。安心して誰にでも薦められるいいマンガだと言えるでしょう。
そして、浅野さんのマンガは、やはりキャラクターが大変魅力的です。いろいろと騒ぎを起こしながらも無邪気で憎めないちょーこと、まわりを取り巻く主人公の京太と、その家族と学校の同級生たち、さらには山から降りてくる天狗の一族の面々と、どれもいい感じの人ばかりで、嫌われるようなキャラクターがほとんどいない。このキャラクターたちの優しい人柄が素晴らしい。
ちなみに、これらのキャラクターの中でも、天狗一族の双子の兄弟・飛鳥と羽鳥が一部の女性読者の間で大人気で、特異なファンが憑いたのが印象的でした。エニックスのマンガの中で、ほぼ最初にその手のファンがついたキャラクターとして記憶に残ると思われます(笑)。このように、誰にでも安心して薦められる素晴らしいマンガで、ほとんど欠点らしい欠点もない優良作品なのですが、あえて欠点を挙げるなら「最終回」でしょうか。いや、この場合、最終回の内容以前に、「なぜこんなに早く最終回を迎えたのか」ということが疑問でした。これだけ面白いマンガだったのだから、もっともっと長く続いてもよかった。少なくとも、わずか4巻の単行本で終わるようなマンガではなかったと思います。それが、あっさりと最終回を迎えてしまって、非常に落胆したのを覚えています。
・次作である「PON!とキマイラ」との比較。
そんな感じで「CHOCO・ビースト!!」が終わってほどなくして、浅野さんの次の連載である「PON!とキマイラ」が始まりました。これもまた大変面白く、浅野さんの代表作となります。
そして、この2作品を比較してみると、どちらも現代を舞台にしてファンタジーの要素が入っている点、主人公をはじめ魅力的なキャラクターが多数揃っている点、ドタバタでありながらほのぼのとした話も多い点と、共通点が非常に多く、作品のイメージはかなり近いものがあります。ただ、後発の「PON!とキマイラ」の方が、よりドタバタコメディの爆笑度が高く、キャラクターもより個性的で存在感が強く、どちらかと言えばこちらの作品の方が人気は高いようです。しかし、わたしとしては、あえて「CHOCO・ビースト!!」の方を高く評価したい。確かに、「PON!とキマイラ」の方が爆笑度もキャラクターの存在感も高いのですが、一方でキャラクターに悪人が多く(笑)、ギャグもどぎついものが多くなり、人によってはかなり違和感を覚えるのではないでしょうか。「CHOCO・ビースト!!」ではそのような要素は少なく、こちらこそ誰もが安心して楽しむことのできる、本当に優しさに満ちた作品ではなかったかと思います。
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