<ドラゴンクエストモンスターズ+(プラス)>
2001・11・7エニックスのゲームソフト「ドラゴンクエストモンスターズ」をベースにしたオリジナルストーリー。作者は少年エース誌上での「ケロロ軍曹」の評価も高いベテラン作家(といっていいよね?)吉崎観音先生。
基本はオーソドックスな少年マンガですが、随所にベテラン作家らしい実力が感じられる、非常に完成度の高い作品です。低年齢層の読者が読んで面白いのはもちろん、わたしのような大人が読んでも十分楽しめますし、原作ゲームであるドラゴンクエストのファンが読んでも文句なしです。わたしは基本的にありきたりな少年マンガは評価しませんが、このようなレベルの高い作品なら大歓迎です。吉崎先生はもとからかなりの実力を持っていたと思うんですが、この「ドラモンプラス」と「ケロロ軍曹」で完全に一皮むけた大物作家になったといえるでしょう。
原作ゲームの主人公はテリーでしたが、このマンガの主人公はテリーにあこがれる少年クリオという設定で、ゲームのアフターストーリーという形をとっています。ゲームの設定はマンガの導入部で違和感なく紹介してくれるのでゲームをプレイする必要はありません。むしろ何も知らないほうが新鮮に世界を楽しめるかもしれないくらいです。
ストーリー自体はモンスターマスターの卵である主人公が幾多の冒険を重ねて成長していくというもので、大筋は決して珍しいものではなく、むしろ王道的なものです。しかし、個々の部分の脚本がよく練られており、展開に無理な点やご都合主義な点があまりなく、ページをめくっていて純粋に楽しい。これが最大の魅力です。
そして絵的にも完成度が高い。ここでもベテラン作家らしい、卒の無い仕事をしています。キャラクターやモンスターの造形がまず完成しており、それ以上に背景の描き込みが素晴らしい。ドラクエ・・・というかファンタジーの世界の雰囲気をよく再現しています。さらに、時折みせる大胆な構図がとても迫力があり、実に引き込まれます。ビジュアル面に関してはパーフェクトな仕事をしているといってもいいでしょう。
そしてもうひとつ、原作のドラクエの世界を忠実に再現しているのが元のゲームファンとしては嬉しい。原作の「ドラクエモンスターズ」がそうらしいんですが、主人公の冒険先が過去のドラクエシリーズの世界で、それら昔のドラクエを知っている人ならにやりとするような設定が出てきます。たとえばドラクエ1の世界なら常に空は暗いままで、モンスターは一匹ずつしか襲ってこないというような設定が無理なくストーリーに取り入れられている。このあたりわたしのような古くからのドラクエファンには嬉しい限り。
と、いうわけで作品としての完成度は申し分ないんですが、ゲームが原作でしかも低年齢向きというイメージからか、あまり表立った人気や話題にはなっていないようです。非常に惜しいと思いますね。同じ低年齢層向けのジャンプなどの少年マンガよりもはるかに面白いと思うんですが。むしろ吉崎観音先生のマンガではもうひとつの「ケロロ軍曹」の方がはるかに話題性では上でしょう。しかしこの「ドラモンプラス」も決して完成度では負けてはいないと思います。これだけの作品を2本同時に、完成度を落とすことなく連載を続けるというのはすごいことだと思いますよ。
2003・1・16<連載終了に際して>
あまりにも中途半端に連載が終了してしまい、非常にショックである。人気がない、という理由らしいので仕方がないともいえるが、出来れば多少無理をしても続けてほしかった。連載再開を切に希望したい。
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